岸田政権が中小企業を一元的に支援する体制構築
岸田政権が、中小企業の収益力改善や事業再生、再チャレンジを一元的に支援する体制の構築を進めている。中小企業は日本経済の成長と分配の好循環を進めるためのエンジンだけに、「新しい資本主義」実現のカギを握っている。このため、施策パッケージに加え、推進するための組織整備などを展開している。
中小企業は日本の企業数の99.7%、雇用の7割を占めており、脆弱化すれば日本経済はたちどころに停滞する。日本経済の命運を握っているのが中小企業と言っても過言ではない。
しかし、新型コロナウイルス感染症の長期化などで、債務の増大に苦しんでいる企業も多く、それによって十分な人材投資や設備投資ができにくくなっているのが実態だ。そのため、成長と分配の好循環が進まない恐れもある。
こうした状況に対応するのが「中小企業活性化パッケージ」で、コロナ資金繰り支援とともに、中小企業の「収益力改善・事業再生・再チャレンジ」の促進などを展開する。
具体的には、足元の資金繰り支援として、これまでの事業復活支援金や資金繰り支援などを継続するほか、官民金融機関が条件変更などの柔軟な対応を実施するという。
「収益力改善・事業再生・再チャレンジ」としては、中小企業再生支援協議会と経営改善支援センターを統合し、中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジを一元的に支援する「中小企業活性化協議会」を4月1日に設置。
これに併せて、中小企業再生支援協議会の中央組織として独立行政法人中小企業基盤整備機構に設置して各協議会の業務を支援してきた全国本部を「中小企業活性化全国本部」に改称して再スタートを切った。
「中小企業活性化パッケージ」に盛り込んだ中小企業の「収益力改善・事業再生・再チャレンジ」に向けた支援をこの新体制で実施する形となる。新組織では、再生支援協議会がコロナ禍で実施してきた280人から380人への増員体制を継続するほか、地域金融機関から100人規模のトレーニーも受け入れ、地域の支援専門家の育成も実施する。
その上で「収益力改善フェーズ」として認定経営革新等支援機関による計画策定支援に加え、フォローアップや助言など計画実行までの伴走支援の強化などを実施したり、会社と経営者の資産の区分など、経営者保証の解除に向けた取組も支援したりする。
「事業再生フェーズ」では、中小機構が最大8割出資する再生ファンドを拡充。宿泊、飲食などコロナの影響が大きい業種を重点支援するファンドを組成し、ファンド空白地域の解消を促進する。
「再チャレンジフェーズ」としては、経営者の個人破産回避のル-ル明確化。経営者の再チャレンジに向け、中小機構の人材支援事業を廃業後の経営者まで拡大するほか、中小機構が廃業後の再チャレンジに向けた専門家支援を展開したりする。
新型コロナでは多くの中小企業が痛手を被っているが、岸田政権はこうした支援体制の整備で、日本経済の〝エンジン〟をさらに強化していく考えだ。
(terracePRESS編集部)