物価対策、生活困窮対策に事業規模13兆2千億円程度の総合緊急対策
政府は、物価高騰やそれにともなう生活困窮者への対応など総合緊急対策をまとめた。ガソリン価格のさらなる抑制策や低所得世帯向けの給付金支給など国費は6兆2千億円程度、事業規模は13兆2千億円程度となる。2022年度予算の予備費を活用するほか今国会で補正予算を編成し、国民生活の安定を図る考えだ。
岸田首相は対策を発表した26日の記者会見で「原油価格や物価の高騰が、コロナ禍からの社会経済活動の回復の妨げになることは何としても防がなければならない。ウクライナ情勢やこれに伴う原油原材料穀物などの価格の高騰、物流の不安定化は予断を許さず、引き続き中長期的な視野を持ちつつ、先手先手で対応を進めていく」などと、対策の必要性を強調した。
対策は、①原油価格対策②エネルギー・原材料・食料等安定供給対策③新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等④コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援-の4つが柱。
「原油価格高騰対策」では、4月末までは1リットル当たり25円の範囲で補填して、レギュラーガソリン価格を172円程度に抑制していたが、新たに5カ月分で約1.5兆円規模の新たな補助制度を設け、補填の上限を35円にするなど激変緩和措置を強化する。
これについて岸田首相は「仮にガソリン価格が200円を超える事態になっても、市中のガソリンスタンドでの価格は当面168円程度の水準に抑制する」との考えを示した。
また、国際原油市場価格が今後前例のない水準まで高騰し、35円を超えて補填が必要になった場合にも、価格上昇分の2分の1を支援して、国内価格の上昇を抑制する方針も打ち出した。
「生活困窮者対策」では、国費1.3兆円程度、事業規模1.3兆円程度を確保。低所得の子育て世帯に対し子供1人当たり5万円の給付金、22年度から住民税非課税になった世帯に10万円の給付金をプッシュ型で支給してセーフティーネットを強化する。
また、緊急小口資金の特例貸付、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金、住居確保給付金の特例措置の申請期限を8月末まで延長するほか、住民税非課税世帯が償還免除となっている緊急小口資金の特例貸付については、償還免除要件の周知徹底を図るほか、償還を含む生活再建の相談に対しては柔軟な対応を現場に徹底する方針だ。
「中小企業対策」では、エネルギーコストや原材料費、労務費などの上昇分を適切に価格に転嫁できるよう取引の適正化を推進。また、公共調達や補助金における優遇措置を設け、賃上げを促進するほか、政府系金融機関によるセーフティーネット貸し付けの金利をさらに引き下げる一方、実質無利子、無担保融資を9月末まで延長し、資金繰り支援をする。
今回の対策はあくまでも「緊急対策」との位置づけだ。政府は、6月までに、岸田首相の看板政策である「新しい資本主義」のビジョンと実行計画、それに骨太方針2022を取りまとめる。これを受けて夏の参院選後に総合的な対策を策定し、新しい日本の経済社会の構築や国民生活の安定、経済成長の促進を実行していく考えだ。
(terracePRESS編集部)