日本の努力は必要としない日韓関係改善
韓国の朴外交部長官が先ごろ訪日し、林外相との会談、岸田首相への表敬などで日韓関係改善の必要性の認識で一致した。韓国側からは「日本側も誠意を持って応じる」などとの情報が伝えられているが、関係改善ができるか否かは、すべて韓国側の行動にかかっている。
林外相と朴外交部長は18日に会談とワーキングディナーを実施。19日には朴部長が岸田首相を表敬訪問した。
日韓外相会談が開かれたのは4年7カ月ぶりで、外交のトップ同士が5年近くも正式な会談をしていなかったことが、現在の日韓関係の異常性を示している。
改めて指摘するまでもないが、日韓間に横たわってる問題は慰安婦、旧朝鮮半島出身労働者、いわゆる元徴用工、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)をめぐる問題など数多い。しかし、どの問題をとっても韓国側が対処すべき問題だ。
慰安婦問題では日韓慰安婦合意を韓国政府が一方的に事実上の破棄をしたし、元徴用工問題では韓国側が日韓請求権協定に違反しているものだ。
日韓請求権協定では、両国が協議や仲裁の手続きが定められているが、日本側が協議を求めたり、仲裁の付託を韓国側に申し入れたりしても、すべて違法に無視してきたのが韓国側だ。
要するに、韓国側がこれらの問題に対して従来の姿勢を変え、日本側が納得する行動をとれば、懸案は解決できる。
朴外交部長は韓国系メディアに「韓日外相の正式会談が実現したこと自体が、日本側の真摯な対応の一環だと考える。これは韓日関係が変化するシグナルと見なせる」と述べている。
確かに、韓国が文政権から尹政権に変わったことで、日韓関係改善への期待が高まっていることは事実で、そのため4年7カ月ぶりに日韓外相会談に応じたということだ。しかし、実際に改善できるかどうかは、すべて韓国側の行動次第だ。
朴外交部長は、元徴用工問題などの解決に向けた韓国政府の努力に「日本側も誠意をもって応じる用意があるという感じを受けた」と述べている。
外相会談の実現によって、それが日本の謝罪表明など「日本側が何らかの努力をする」というシグナルと解釈されたのなら、それは完全な誤解だろう。
徴用工問題では、差し押さえが認められた日本企業の資産の現金化が間近に迫っている。現在、韓国では、元徴用工への補償を肩代わりする基金を設立し、被告とされた日本企業がそこに自主的に参加する案などが取り沙汰されている。
しかし、徴用工などの日韓間の問題は、すべて日韓請求権協定で解決されているため、日本企業が〝自主的〟とはいえ参加したら、それも請求権協定を踏みにじることになる。
元徴用工問題にしても、慰安婦問題にしても韓国が自発的に解決することが、真の日韓関係改善につながる唯一の道だ。
(terracePRESS編集部)