原発再稼働で国民生活安定を確保
岸田首相は先ごろ、再稼働済みの原発10基に加え、7基の原発の再稼働を目指す方針を打ち出した。また、次世代型原発の建設を検討する方針を示し、新増設をしないとしてきた従来政策を転換させた。原発の再稼働は脱炭素の推進や日本のエネルギー安全保障の確保だけでなく、国民生活の安定を図るためにも不可欠だ。
首相が方針を示したのはGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議。GXとはこれまでの化石燃料中心の経済社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させることで経済社会システム全体の変革を進めるというもの。
首相はGX会議で「ロシアによるウクライナ侵略によって、世界のエネルギー事情が一変」などと世界的なエネルギー需給構造に地殻変動が起こっていることに懸念を表明。
その上で、「電力需給ひっ迫という足元の危機克服のため、今年の冬のみならず今後数年間を見据えてあらゆる施策を総動員し不測の事態にも備えて万全を期す。特に、原子力発電所については、再稼働済み10機の稼働確保に加え、設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応を採っていく」と言明した。
日本社会は現在、季節によっては電力の需給が綱渡りとなっており、計画停電なども取り沙汰されるようになっている。
政府が再稼働を目指すのは、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機、日本原子力発電東海第二原発、東北電力女川原発2号機、関西電力高浜原発1、2号機、中国電力島根原発2号機の計7基。
原子力規制委員会の新規制基準の審査に合格したにもかかわらず、再稼働していない原発を最大限活用する狙いだが、地元の同意が得られていない原発もあり、7基の稼働実現までには曲折も予想される。
とは言っても、原発再稼働を認める声も増えており、読売新聞などが全国の有権者3000人を対象に実施した世論調査によると、規制基準を満たした原子力発電所の運転再開については、「賛成」が58%に達しており、「反対」39%を大きく上回っている。
多くの人が不安定な電力需給を解消し、安定的な社会を望んでいるということだろう。
しかし、再稼働を目指すのは足元の電力需給だけではない。GXを進める上でも原発は不可欠だ。だからこそ首相は次世代型原発の建設を検討する方針も示している。
もちろん、再エネの導入拡大など実施すべきことはほかにもたくさんある。それらの施策も実施しながら原発の再稼働や、新規原発の促進も必要だ。
岸田首相はGX会議で「国民生活への影響を最小化するべく、事前にあらゆる方策を講じていく」と強調している。国民の安全確保も社会生活の安定確保も、あらゆる方策を動員して実現するのが岸田政権の方針だ。国民もその必要性への理解が求められる。
(terracePRESS編集部)