大阪府知事選候補、吉村洋文氏の政治資金疑惑
大阪府知事、大阪市長の入れ替えダブル選に打って出た前大阪市長の吉村洋文氏に政治資金疑惑があるというから驚きだ。有権者からは、入れ替えダブル選も「住民を置き去りにしている」「思い上がっているのか?」との批判の声も上がるほどすっきりしないことだが、それに加え政治資金をめぐり疑惑があるというから、お粗末極まりない。浮かばれないのは有権者、大阪府民だろう。
疑惑は一部メディアが報じたもの。吉村氏が衆議院議員時代、2016年3月に解散した「維新の党」本部の2015年分の政治資金報告書では、本部が同年3月5日付けで、吉村氏が代表だった「維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部」に300万円を寄付したことが記載されている。
ところが、その支部の報告書には300万円の寄付を受けたことが記載されていなかったのだ。党本部が寄付した300万円が〝行方不明〟になったのだ。つまり使途不明の金というわけだ。
報じたメディアによれば、吉村事務所の当時の会計責任者は、吉村氏が2014年の衆院選出馬の際、自費で党の公認料300万円を肩代わりし、その公認料が党本部から返還されたものと解釈し、支部の収支報告書に3月5日付けで吉村氏本人から寄付があったと記載したと説明しているという。
しかし、この吉村氏の寄付額は285万円で300万円ではない。その会計責任者は差額の15万円については当時の府議に寄付したもので、それを差し引いたなどと釈明したという。まるで辻褄あわせのような釈明としか聞こえないが、吉村氏側はあくまでも記載の不備という苦しい説明で押し切ろうとしたようだ。そもそも、吉村氏個人の公認料の立て替えに対する返還ということなら、300万円は支部ではなく吉村氏本人に返還すべきものなのにだ。
ところで、吉村氏といえば市長時代に、市を廃止して特別区を導入する「大阪都構想」に先行して、市を残したまま行政区を再編する「総合区」構想を打ち出した。総合区構想を打ち出しながら、その総合区について会合で「カモフラージュ」と言い放ち、それを批判されると「カモフラージュと言ったことを忘れていた」と信じがたい言い訳をした過去もある。
政治資金問題もあわせ、こうした人物では大阪府知事の重責を担えない。入れ替えダブル選をめぐっては、「住民不在の判断といわれても致し方ない。選挙費用の節約で、知事と市長を入れ替えるとは、自らの役割と責任を軽視すること」(関西経済同友会代表幹事の黒田章裕コクヨ会長)といった批判もある。市長の役割や責任を果たさない人物は、府知事の役割も責任も果たさないだろう。
(terracePRESS編集部)