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2025.07.02

消費税は社会保障の財源。だから「消費税を守る」との自民・森山幹事長発言は当然だ

自民党の森山裕幹事長が先ごろ「何としても消費税を守り抜く。代替財源を示さずに、消費税を下げる議論だけをするのはポピュリズムの政治だ」と発言した。この発言はSNSなどで多くの批判を呼んだが、森山発言の背景には社会保障制度の信頼性確保という明確な根拠がある。

立憲民主党など野党は消費税減税という選挙向けの〝耳あたりの良い政策〟を懸命にアピールするが、実は、社会保障に目を背けた政策でしかないのだ。

日本が世界でも有数の少子高齢化社会であることは、日本人なら誰もが知っているだろう。こうした社会を支えるのが社会保障制度だ。

消費税は1990年代以降、増え続ける高齢者人口に伴う社会保障費の安定財源として活用されてきた。特に2012年に政府が決定した「社会保障と税の一体改革」では、消費税の引き上げ分はすべて社会保障費に充てるとされている。

事実、消費税法には、地方交付税以外の使途について「毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と明記されている。また、地方消費税もその大半が社会保障経費に使われている。

つまり、消費税の使途は、地方交付税を含めた地方分と社会保障しかなく、事実上、社会保障の財源として目的税化されているのだ。

2025年度予算では、消費税収が34.1兆円と見込まれているが、地方分を除いた国分は20.1兆円で、全額が年金、医療、介護、子供・子育て支援の社会保障4経費に使われている。

しかし、この4経費の国分の実際の歳出額は34兆円が見込まれているから、消費税収だけではまかない切れていないのが実態だ。

ただでさえ消費税は社会保障の財源としては足りないわけだが、それでも「減税してしまえ」というのが立憲民主党などの主張だ。

そうした実態を無視してしているのか、あえて、ほおかぶりしているのかは知らないが、消費税を減税するとなると、社会保障費を削減するか、赤字国債で財源を賄うか、他の予算を削減するか、他の税を増税するかしかない。

どう実施するかも言わずに、ただ消費税減税を訴えるのは、森山幹事長ならずと「ポピュリズムの政治」と言わざるを得ない。

〝減税〟は聞こえがよく、瞬間的な支持を集めやすい。しかし、その裏にある財政への影響や社会保障制度の持続性まで考えたとき、本当に守るべきものは何か。少子高齢化が進むからこそ、次世代のことまで考えて安心できる社会を作るのが政治家の役割だ。それを示したのが森山発言なのだろう。

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