有権者は「合流立憲」を望んでいるか?
立憲民主党、国民民主党、社民党など野党が合流に向けて話し合いを続けている。それも、政策のすり合わせがないまま、相変わらず合流か否かという数合わせの論理に捉われた議論だ。
メディアなどが報じているが、立憲の枝野代表は先ごろの野党党首会談で、国民民主党、社民党、野田佳彦前首相や岡田克也元副総理ら無所属議員に事実上の合流を呼びかけたという。
枝野氏はその際「(国会の)会派をともにする皆さんには十分に理念、政策を共有していただいている。より強力に安倍晋三政権と対峙するため、幅広く立民とともに行動していただきたい」と述べたというから、国民など他の野党に立憲に合流するよう呼びかけたものだ。
こうした枝野氏の姿勢に対し、国民の玉木代表は、党名、政策、人事など「対等な立場で公党間の協議を行っていく必要がある」と述べたという。
それはそうだろう。立憲と国民は共に民主党を源流とする政党とはいえ、政策で異なっている部分もある。例えば、原子力と言う重要なテーマもその一つだ。
立憲が1日も早い原発ゼロを目指しているのに対して、国民は2030年代を目標として、できるだけ早期に原子力エネルギーに依存しない社会の実現を目指しているのだ。
かつて「政権を取ることが第一で細かい政策の合意はいらない」と述べた人物がいたが、原発政策は「細かい政策」ではない。
また、どのように日本経済を活性化させるのか、その手法も有権者には分からない。それだけでなく、立憲も国民も、幼保無償化などの財源ともなった消費税増税に反対していたが、再び8%に戻すのか否か、増税分への対応についても不明だ。
つまり、今回の合流議論には、どのような政策を展開していくかと言う有権者への情報発信がまったくないのだ。民主党政権が崩壊して以降の野党は、まさしく離れたりくっついたりと数合わせの論理だけを行動原理にしてきた。その行動原理は今回も同じで、そこでは有権者はひたすら無視されるだけだ。
枝野氏にしてみれば、他の野党が立憲に合流するのだから政策のすり合わせは必要ないということなのかもしれない。
しかし、NHKの11月の世論調査をみても、立憲民主党の支持率は6.3%だ。以前より上昇したとはいえ、1割にも満たない支持率だ。そこに野党が合流しても、何も変わり映えせず、有権者の支持は得られない。
野党第一党だから、合流話でも主導権を握るということなのだろうが、あまりにも視野が狭い話で、有権者にも目が向いていない。ましてや政権を取って外交も行うなど到底、無理な話なのだろう。
(terracePRESS編集部)