将来見据えた二階氏のベトナム訪問
安倍首相の中東歴訪に隠れ、メディアでもあまり大きく伝えられなかったが、自民党の二階幹事長が先ごろ、ベトナムを訪れ、フック首相と会談した。
会談では、ベトナムからの技能実習生の受け入れや、人的交流の拡大に向けて、引き続き協力していくことで一致したという。
日本は現在、外国人労働者の受け入れ拡大を進めている。もちろん、その理由は少子高齢化の進展だ。日本の15~64歳の生産年齢人口は、7,656万2,000人(2016年10月1日現在)と前年に比べ72万人も減少。15~64歳人口の全人口に占める割合は60.3%と、ピーク時の1993年(69.8%)以降低下し続けている。
このため、日本の働き手を外国人労働者に依存せざるを得なくなる状況は、ますます強まってくる。
ニッセイ基礎研究所によると、2017年現在の国籍別の外国人労働者数は、中国が372,263 人(外国人労働者全体の29.1%)で最も多く、次いでベトナムが240,259 人(同18.8%)、フィリピンが146,798 人(同11.5%)、ブラジルが117,299 人(同9.2%)の順となっている。特に、最近はベトナムやネパールからの外国人労働者が大幅に増加している状況という。
こうした状況の中で、二階幹事長がベトナムを訪問し、フック首相とベトナムからの技能実習生の受け入れ拡大に向けて、悪質なブローカーの排除に取り組むことや、若い世代を中心に人的交流の活発化を図るなど、日本とベトナムの関係強化に向けて、これまでと同様に協力していくことで一致したわけだ。
これが政権政党である自民党の強みであり、懐の深さなのだろう。時を同じくして首相が中東を歴訪し、サウジアラビアなどに海上自衛隊の中東派遣の理解を求めたかと思えば、一方で党の幹事長がベトナムを訪問し、今後の技能実習生の受け入れ促進について協議する。
海自の派遣も海外からの技能実習生の受け入れも、日本の将来にとってどちらも重要なことだ。それを政府と党の役割を認識しながら、それぞれが行っているのだ。
もちろん、二階氏の訪問はこれまでの実績もあり、会談ではフック首相が「長年にわたって二階氏には、両国の関係に多大な尽力をいただいており、改めて評価したい」と述べたという。このような〝外交〟が果たして野党にできるのだろうか。
(terracePRESS編集部)