未来も作るのが政府の役割
新型コロナウイルス感染症の拡大防止と終息が、政府はもちろん日本国民の最大の課題となっている。そうした中で経済産業省が先ごろ、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の公募を開始するという発表を行った。
スマホは現在、4G(第4世代移動通信システム)が主流となっているが、4Gより高度な5G(第5世代移動通信システム)を使ったスマホも今春から発売されている。
5Gの特徴は4Gに比べて通信速度が格段に高いということだ。最大で4Gの約25倍とも言われており、そのため、4Gがスマホのための技術だったのに対し、5Gはさまざまな端末のための技術となる。社会のあらゆるものをネットワークでつなげるIoT社会には欠かせない技術だ。
5Gはスタートしたばかりだが、経産省が公募したのはその5G後の情報基盤の研究開発事業だ。5Gより先を睨んで、工場や自動車といった多様な産業用途への活用できるよう、5Gよりもさらに低遅延で、多数同時接続といった機能が強化された「ポスト5G」で、日本の競争力を確保するというわけだ。
政府の役割とはまさにこうしたことなのだろう。常に先を見越して、技術開発や制度設計を行うのが責務だ。もちろん、それは情報技術に限ったことではない。既存の工業も農業はもちろん、新産業の創出もそうだ。
新型コロナウイルス感染症対策に官民一丸となって取り組むことはもちろんだが、日本の経済力を今後も強固なものにするのが政府の役割なのだ。
もちろん、新型コロナ終息後のポストコロナ対策も重要だ。政府が策定した「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」では、「(新型コロナ終息後に)今回の事態により甚大な影響を受けた分野に重点的にターゲットを置き、国民広くに裨益する、短期 集中の思い切った支援策を講ずる」として、売り上げなどに大きな影響が出た観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業を対象にした「Go Toキャンペーン(仮称)」として、官民一体型の消費喚起キャンペーンを実施するため、補正予算に約1.7兆円を計上している。
また、棄損した日本の経済構造をさらに強化するため、サプライチェーン対策や海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の強化、企業や学校のデジタル化の促進などにも約1兆円を盛り込んでいる。
新型コロナウイルス感染症という足元の脅威に対応するのが政府の役割だが、さまざまな視点から将来を見据えて手を打つのも政府の役割だ。
(terracePRESS編集部)