納得できない承認撤回

沖縄県が、米軍普天間基地の代替施設である名護市辺野古の飛行場建設の埋め立て承認を撤回した。承認の撤回で法的根拠を失うため、当面工事はできなくなるが、政府も法的措置をとるため、裁判で政府の主張が認められれば、再開する見通しだ。

 

承認の撤回は、8月8日に死去した翁長雄志知事が表明していたものだ。それが遺志となり、今回、謝花喜一郎副知事が行ったものだ。

 

しかし、撤回するという翁長氏の意思は、最終的判断だったのだろうか? もちろん、そうなのだろう。何としてでも辺野古移設を阻止するというのが翁長氏の考えだったわけで、それが法的にも翁長氏の最終的な意思、判断なのか?と言えば、誰も答えられないのではないか?

 

承認の撤回に向けては、いくつかのプロセスを経る必要がある。その一つが反論を聞く「聴聞」だ。当事者の反論を聞いて、なおかつ撤回することが妥当か否かを最終的に判断しなければならない。これが正当な手続きだ。

もちろん、沖縄県は防衛局への聴聞を行っている。しかし、実施したのは、翁長氏が死去した翌日の9日だ。

 

つまり、翁長氏は最終的に判断するためのプロセスを全うしていなかったのだ。手続きを経ていないのだから、翁長氏の撤回の意思は最終的なものではないはずだ。翁長氏個人の感想ならまだしも、知事が最終的に判断していたというのは、あまりにも法的手続きを無視した進め方ではないか。

 

また、知事選を経ずに撤回するという手法にも疑問がわく。立候補を表明している候補者のうち、少なくとも玉城デニー氏は、辺野古移設の是非が選挙戦の争点だと公言している。

選挙戦の争点をどう作っていくかは、候補者それぞれが考えるべきなのだが、あえてこの時期に撤回し、県民、国民の注目を引くやり方は、辺野古の争点にしようという考えにとっては追い風だ。これでは、沖縄県が知事選に介入したようなものだろう。

不幸なのは沖縄県民というしかない。