期待できる安倍首相の防災・減災対策

自民党総裁選では財政再建への道筋も争点の一つとなっている。新聞メディアも総裁選を契機に、多様な記事を展開しているが、その中でも財政再建や経済政策はメディアが大きな関心を示しているテーマだ。

 

例えば読売新聞は「総裁選に望む」というタイトルで各界の有識者らのインタビュー連載企画を掲載しているが、9月14日付け朝刊ではサントリーホールディングス社長の新浪剛史氏のインタビューを掲載している。

新浪氏は「総裁選では、いかに予算を効果的に使うかという視点で、財政再建と経済成長を一緒に議論すべきだ」と指摘しているが、この考えに異論を唱える人は皆無だろう。

 

しかし、新浪氏はその後「そもそも国の借金が積みあがったのは、使った予算がどのように効果を上げたのか、検証が不十分だったからだ。企業の場合、必ず投資の効果を検証し、場合によっては、途中で投資をやめることさえある」「経済再生を通じ、(税収を増やして)財政再建を進める安倍内閣の方向性は評価できる。しかし、経済成長に資する政策にお金を使い、そうではない政策の経費は削っているのか」と指摘している。この主張も多くの人々が賛同するのだろう。

 

しかし、ちょっと待ってほしい。今年はまさに、豪雨や記録的な台風、地震など自然災害が多発している。こうした論理の中では、一歩間違えると、災害対策の公共投資は、「経済成長に資する投資ではない」などと誤解される恐れが十分にある。50年に一度の豪雨に耐えうる堤防などは、実際のところ、そうした豪雨が起こらないと投資効果は測れない。「どのような効果を上げるのか」はあらかじめ分かるが、「どのような効果が上がったのか」を判断することは難しいのだ。

 

安倍首相は、経済再生を通じて税収を増やして財政再建を進めようとしているが、その一方で国土強靭化にも取り組んでいる。経済成長を実現することは極めて重要だが、それ一辺倒では、災害から国民の生命、財産を守ることは難しい。

 

総裁選では、石破氏が平時から対応するため防災専門の行政部署としての防災省の創設を提起している。これに対し安倍首相は「防災・減災、国土強靭化のための緊急対策を3年集中で講じる」としている。

 

防災・減災にはどのような投資を行い、平時から災害に強い国土を作るのかが問われるのであって、防災省を創設すれば、強靭な国土が完成するというのはあまりにも安易な考えだ。

 

経済成長のための投資と、国民の生命・財産を守るための投資のバランスをどうとるのか。それに腐心しながら、3年間という期限を区切って集中的に防災・減災対策を行うという安倍首相の提起は、災害対策に取り組む意欲の表れなのだろう。