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2020.12.08

脱炭素社会の道筋、菅政権初の成長計画

政府の「成長戦略会議」は先ごろ、菅政権で初めてとなる成長戦略の実行計画をまとめた。脱炭素化に向けた新技術開発支援や中小企業の生産性向上のための支援策などが柱となっている。少子高齢化の進展、ポストコロナという社会の成長の方向性を示すという点で重要な計画だ。ただ、東京一極集中の緩和や地方活性化については具体性に乏しい部分もあり、一層の具体化が必要だ。

 

菅政権は、「経済財政諮問会議」を経済運営の司令塔機能と位置づけ、「成長戦略会議」は改革の具体策を策定する場と位置づけられている。今回の計画は「実行計画」とされているが、実際は「中間とりまとめ」で、今後「最終とりまとめ」に向けて議論を加速させる。

 

ただ、今回の計画を決めた会議で菅首相は「我が国企業の最大の課題は生産性向上であり、今後あらゆる取組を行い、経済の好循環を実現する」と述べ、関係閣僚に計画に盛り込まれた項目の実行を指示していることからも分かるように、この計画に沿って来年度の政府予算案は策定されるため、「中間とりまとめ」であっても方向性を決める計画となっている。

 

この実行計画は脱炭素社会の実現を目指すことが「産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要」との認識を示し、その上で ①脱炭素社会実現のため、水素、次世代蓄電池などの技術開発支援の基金創設 ②脱炭素化の効果の大きい設備投資への税制支援 ③中小企業の生産性向上となるM&Aを促進する税制支援 ④中小・中堅企業の規模拡大や業態転換を支援する補助金制度の整備-などの導入や検討を中心に策定されている。

 

こうした中で地方の創生については「『新たな日常』に向けた地方創生」との章立てがされ「今般の新型コロナウイルスの感染拡大は、地域の経済・社会に大きな影響を与え

ている一方、テレワーク等の経験により、地方移住への関心が高まるなど、国民の意識や行動にも変化が生まれている。地方創生を推進する際には、こうした変化を踏まえながら取組を強化していく必要がある」と指摘している。

 

ただ、具体策となると「テレワークの推進」「地方大学の改革」「関係人口の創出・拡大」「スーパーシティー構想の推進」というように、一極集中を緩和して人口構造を変えるという大きな課題に取り組むための施策としては力不足も否めない。

もちろん、テレワークやワーケーションなどは日本社会では、事実上スタートしたばかりで、二地域居住・就労も含めて、地方への新しい人の流れを創出することに大きく寄与することも考えられる。

 

しかし、テレワークやワーケーションなどは政策による強力な促進支援を欠いたままでは再び下火になってしまう可能性もある。人口構造を変えるためにも、脱炭素社会の実現と並んで重点化させる必要がある。

 

(terracePRESS編集部)

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