討論会で露呈した長野・羽田氏の支離滅裂
参院長野選挙区補選(8日告示、25日投開票)を前に3月29日に、立候補を予定している自民党の小松裕氏、立憲民主党の羽田次郎氏、「地域政党『信州義民の会』」の荒井久登氏による公開討論会が行われた。この討論会で驚かされたのが、羽田氏の支離滅裂さだろう。国民民主党が羽田氏の推薦を撤回したが、討論会の羽田氏の主張を聞けば、国民民主が野党の枠組みを壊してまで推薦を撤回したのも理解できる。
討論会では、羽田氏が共産党と結んだ政策協定で「韓国や北朝鮮との不正常な関係を解消するために、日米同盟に頼る外交政策を是正し」とある点について他の候補予定者から問われ、「私はどこの国とも対話をすることが大事だと思っているので、1国に頼ることはしない」と説明した。
指摘するまでもないが、中国は民主主義を否定する社会主義国であり、現在、南、東シナ海に進出したり、新疆ウイグル自治区で人権弾圧をしたりと国際的な問題を巻き起こしている。羽田氏の主張は、その中国と、同盟国である米国を同列に扱うかのようなもので、それはまさに共産党の影響を受けた考えと言わざるを得ない。
さらに驚かされるのが、日米同盟の重要性について問われた羽田氏の「私は、同盟は同盟、軍事は軍事、外交は外交で別なものだと考えている」との説明だ。
政治家なら誰でも、日米関係が日米安全保障条約や経済的な連携、外交的な協調などさまざまな分野が一体となって日米同盟を形成していることなど理解しているだろうが、羽田氏はそんな基礎的な知識もないのだ。
また、羽田氏が政策協定で「2050年までに再生可能エネルギー100%を実現し、原発ゼロ社会をめざす」としていることについて「原発ゼロで経済成長はできない」との他の候補予定者の指摘について羽田氏は「かなり集中砲火を浴びて、兄が取った票を取りに来ている」とキレる始末。
その上で「代替エネルギーもまだない、核の廃棄物処理の仕方も確立していない、働く人の雇用の保障もされていない。そういうことを国が担保しないと、原発をゼロにするのは無理だと私も言っている」と断言。一転して原発ゼロの実現性を否定してみせた。
これだけではない。討論会の終盤にテーマが教育問題に移ると、羽田氏は「私は小学校だったら小学校に、すべての子供たちにタブレットを貸し出すということをしたいと思う」と胸を張った。
しかし、文部科学省の「GIGAスクール構想」の一環で、4月から義務教育での児童生徒への「1人1台端末」がスタートしている。羽田氏はこんな事実も知らないまま、「タブレットを貸し出す」などと言い放っているのだ。
討論会では、最低賃金についても話題になったが、羽田氏は政策協定で「最低賃金を全国一律で1500円に上げる」などと明示している。最低賃金が上がれば、中小企業が苦境に陥り、地域経済の脆弱化を招くことには関心がないようだ。
いずれにしても参院長野選挙区の代表者は有権者が選ぶことだが、政治家としての見識を持った人物が代表になるべきだ。
(terracePRESS編集部)