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国の安全確保と成長促進する経済安保

政府の「経済安全保障推進会議」は先ごろの会合で、「経済安全保障法制に関する提言」をまとめた。経済安全保障法案の方向性として、サプライチェーン(供給網)の強靱化や基幹インフラの信頼性確保などの4テーマについて具体的な方向性を示した。国の安全保障に関わる新しいテーマだけに、まずは新規立法措置を速やかに具体化し、成立させることが不可欠だ。

 

提言では、近年、国際情勢が複雑化し、社会経済構造の変化などが進む中で「国民生活や経済活動に対するリスクが顕在化」していることや、各国が産業基盤強化の支援や、先端的な重要技術の研究開発、機微技術の流出防止、輸出管理強化などを推進しているとの認識を表明している。

 

日本はこれまでこうした分野における整備が十分だったとは言えず、他国に比べ立ち遅れていることが否めなかった。

 

このため、同会議は、「重要物資や原材料のサプライチェーンの強靭化」「基幹インフラ機能の安全性・信頼性の確保」「官民で重要技術を育成・支援する枠組み」「特許非公開化による機微な発明の流出防止」の4テーマについて、法制の検討を進めていた。

 

提言は「サプライチェーンの強靭化」について「我が国においては、重要な物資の安定的な供給が損なわれる事態を未然に防止するため、平時において、生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄等について、総合的かつ業種横断的に取り組む制度はこれまで整備されていない」と懸念を表明。

 

その上で「サプライチェーンは、民間事業者による自由な経済活動の中で構築されるもの」としながら「民間事業者による経営判断を後押しする支援の枠組みを整備することが必要」としている。

 

「基幹インフラ」については、「我が国においても基幹インフラ事業者を含む民間企業等が対象となったとされるサイバー攻撃事案が複数発生」「我が国の外部から我が国の基幹インフラ事業に対して妨害行為が行われるおそれが高まっていると考えられる」との現状認識を示した。

 

その上で「基幹インフラ事業者への設備の『導入』や『維持管理等の委託』の際、政府が事前にリスクを把握し、必要があれば当該リスクを排除する制度を整備すべき」としている。基幹インフラについてはエネルギー、水道、金融、情報通信、運輸、郵便の6分野を想定しているが、法案の段階では放送、鉄道、クレジットカードなどさらに細分化される見通しとなっている。

 

岸田首相は同会合で「経済安全保障は、21世紀型のグローバル・ルールの中核となるもの。厳しさと複雑さを増す国際情勢の中で、我が国の安全を守り、世界の成長を取り込む」との決意を示しており、今国会に法案を提出する方針だ。

 

(terracePRESS編集部)

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