順調に拡大する農林水産物輸出
農林水産物の輸出が順調に拡大、安倍政権以降の輸出拡大政策が成果を上げている。2021年には前年比25.6%増の1兆2,385億円を達成した。岸田政権も輸出拡大に積極的に取り組む方針で、2022年度当初予算案でも農林水産物や食品の輸出力強化、食品産業の強化策のための予算を計上、21年度補正予算と合わせて取り組みを強化している。
21年の輸出が拡大したのは、世界的に新型コロナウイルスの蔓延が続く中、消費者ニーズの変化に対応した、小売店向けやEC販売などの新たな販路への販売が堅調だったことや、中国や米国などの経済活動が回復傾向を示し、外食需要も回復してきたことなどが背景にあるとされている。
もちろん、プロモーションなど政府の輸出拡大の取り組みが後押しし、多くの品目で輸出額が伸び、その結果として総額が伸びたとみられる。
農林水産物の輸出について政府は現在、2025 年までに2兆円、2030 年までに5兆円という目標を設定している。
そのため、国内市場のみに依存する農林水産業・食品産業の構造を、成長する海外市場で稼ぐ方向に転換することが不可欠となっており、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を策定し、拡大策に取り組んでいる。
海外で評価される日本の強みを有する品目を中心に輸出を加速させ、その波及効果として、全体の輸出を伸ばすことを目指しているのもその1つだ。日本の強みを有している品目として選定した輸出重点品目について、品目毎のターゲット国・地域への具体的な輸出目標を定め、その達成に向けて、政策資源を重点的に投入している。
例えば、牛肉は和牛として世界中で認められ、人気が高く、輸出の伸びが期待できる品目で、2025年の輸出目標額は1,600億円。国・地域別には香港が330億円、台湾が239億円、米国が185億円などとなっている。21年の牛肉の輸出額が536億円で、それからみると1,600億円は意欲的な目標だが、21年は前年比で85.9%の伸びとなっており、決して達成が不可能な目標ではない。
21年の国・地域別の輸出額の伸びをみると、中国、米国、シンガポール、オーストラリア、フィリピン、EUが軒並み30%以上の伸びを示しており、さらに官民が一体となったプロモーションなどの促進が期待されている。
こうした課題に対応するため、政府は海外での販売力強化支援として21年度補正予算に83億円、22年度当初予算案に29億円を計上。品目団体が輸出重点品目についてオールジャパンで行う海外販路開拓や市場調査などの輸出力強化の取り組みを支援したり、JETRO(日本貿易振興機構)などが行う、品目団体などと連携した販路開拓や戦略的プロモーションを支援する方針だ。
農林水産物の輸出促進は地域経済活性化のためにも重要な政策だ。岸田政権の着実な政策支援で、まずは2025 年までに2兆円の目標を達成することが期待されている。
(terracePRESS編集部)