伝えられない菅首相の主張
約2年ぶりの党首討論が9日行われた。今回の党首討論では菅首相が立憲民主党の枝野代表に質問する場面もあった。また菅首相の指摘で枝野氏の主張が論理的ではないことも明らかになった。しかし、メディアは菅首相の主張を伝えず、57年前の東京五輪の思い出を語った菅首相に対する野党の批判ばかり伝える始末だ。ここでは菅首相が何を主張したかを紹介しよう。
菅首相の口から枝野氏への質問が飛びだしたのは、枝野氏が「ニュージーランドやオーストラリアのように感染ルートをすぐに把握をして、非常に狭いエリアで、短期間の封じ込めで感染を抑え込むということは十分に可能だというふうに私は思っている」と述べたことに対してだ。
菅首相は「枝野代表からゼロコロナというのを何回か聞いたことがある。ゼロコロナ戦略というのは、要は無症状の方も含めて検査を実施して感染者を徹底して探すということになるわけだが、御党では特措法の私権制限強化に、これ非常に慎重な立場だった。国民の皆さんにどうやって検査をしてもらうか、強制的な検査を受けてもらうのか。ここは1回、ぜひ私も伺ってみたいというふうに思っていた」と指摘。
さらに、「欧米諸国では検査を徹底しても感染拡大は止まらなかった。強制的に検査を行うことができない中でどうするのか。そして同時に、何回となくオーストラリア、ニュージーランド、台湾、こうしたことを例に出しているが、この3国というのは罰金や懲役による強い私権制限を行っている。そしてオーストラリア、またこうした国、特にオーストラリアについては人口密度が非常に少なく、日本の100分の1。そうしたその強い私権制限のできるところと比較することはいかがなものかなというふうに思う」と述べた。
確かに、枝野氏は検査を徹底して感染者を探し出す方式や、感染防止に成功したとされるオーストラリア、ニュージーランド、台湾などを引き合いに出して、同様にやれば日本も感染拡大を押さえ込めると主張していた。そして、それをメディアが何も検証せずに垂れ流していた。
菅首相は、その枝野氏の主張に真っ向から反論した形となったが、枝野氏は「検査の対象は場合によっては政令でも拡大できる。私達は別に私権制限に否定的ではない」などとかわしたに過ぎなかった。
しかし、感染症法改正案が議論された際に、入院拒否などの場合、刑事罰である懲役や罰金を科すことが浮上したが、枝野代表が「懲役刑は到底、容認できない」と反対を明言したことも事実だ。
菅首相はまた、党首討論でオリンピックについて、当初18万人といわれた選手や大会関係者を半分以下にし、さらに縮小する方向で検討していることを明らかにし「選手など8割以上はワクチンを接種して参加するということを、報告を受けている。入国前に2回、入国時に1回、そしてその後に3回、徹底して検査をし、選手については期間中も毎日行う」と述べている。
(terracePRESS編集部)