terrace PRESS

CATEGORY政治

2021.07.28

最低賃金引き上げは格差是正に効果

厚労省の諮問機関である中央最低賃金審議会が先ごろ、2021年度の地域別最低賃金改定について、都道府県の時給を一律28円引き上げるよう求める目安を田村厚労相に答申した。新型コロナ禍で低下した労働分配率の向上が狙いで、過去最大の引き上げ幅となる。しかし、引き上げには企業への政府支援が不可欠だ。

 

今回の答申では、2021年度の最低賃金(時給)を目安の全国平均で前年度比28円引き上げて、全国平均の最低賃金は930円、引き上げ率は3.1%を求めた。新型コロナが拡大して事実上の据え置きとなった2020年は別として、それ以前の2016~19年度と同水準だから、突出した引き上げとは言えない。

安倍政権時代から、政府は1000円を目指して「年3%程度」の引き上げ方針を示していたから、そのペースへと戻ったということだ。

 

今後は都道府県の審議会で審議し、都道府県の改定額は8月に出そろい、新たな最低賃金は10月ごろから適用される。

 

中央最低賃金審議会の答申は異例の採決で決められ、経営者側委員の4人が反対したという。コロナ禍で飲食・宿泊業などが昨年度以上に厳しい経営環境にあることが経営者側の反対の論拠で、最低賃金が大幅に引き上げられれば、企業経営に悪影響を及ぼすというわけだ。

 

事実、日本商工会議所の三村会頭は「コロナで最も苦しんでいる事業者が最低賃金を引き上げることで影響を受けるのではないか。議論のプロセスに疑問を持たざるを得ない」などと審議自体に疑問を投げかけている。

 

今回の引き上げは、菅政権の取り組みによるものだ。6月に決定した「骨太の方針」では、最低賃金引き上げを重要政策の1つに掲げ、経済回復の果実を労働者に回す方針を示している。

 

労働者への配慮をすることが政権の目標であるわけだが、もちろん企業側への支援も実施する方針だ。

 

例えば「雇用調整助成金」は、特に業況の厳しい企業への支援を年末まで継続し、原則的な措置を含めてリーマンショック時(中小企業最大9/10)以上の助成率を維持するし、業況特例などの対象となる中小企業が、最も低い時間給を一定以上引き上げる場合、最低賃金が引き上がる10月から年末までの3か月間、休業規模要件を問わずに支給するという。

 

また、中小企業・小規模事業者の生産性向上支援策や下請取引の適正化なども展開する。特に下請取引関連では、最低賃金改定に際して官公庁が、官公需の受注事業者からの申し出の有無に関わらず、契約金額の見直しの必要性を確認するという。

 

最低賃金の引き上げが所得の格差是正や底上げにつながることは間違いないし、企業支援も用意されている。今回の最低賃金の引き上げは菅政権の功績の1つといえるだろう。

 

(terracePRESS編集部)

この記事をシェアする

関連タグ

人気関連記事

投稿種別CATEGORY

  • 政治
    政治
  • マスコミ
    マスコミ
  • 国内
    国内
  • 社会
    社会
  • 事故・事件
    事件・事故
  • 経済
    経済
  • 動画
    動画
  • 法律
    法律
  • 教育
    教育
  • 歴史・文化
    歴史・文化
  • 国際・海外
    国際・海外
  • 特集
    特集
  • インタビュー
    インタビュー
  • その他
    その他

注目タグTAGS