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2021.08.20

行動制限は憲法改正議論の中でも必要

新型コロナウイルスの急激な感染拡大に伴い、個人に対する強制的な行動制限などを求める声が出ている。感染対策の主体でもある国民、企業などに対策を実行できていない部分がある限り、そうした声が出るのも理解できる。菅首相は私権制限などに消極的な姿勢を示しているが、それは私権制限に対して強硬に反対する声があるからだ。憲法改正と合わせてこれからは真正面から検討することが必要だ。

 

政府の基本的対処方針分科会の尾身会長は「個人に感染リスクの高い行動を避けてもらうことを可能にするような法的仕組みも必要」としており、17日の菅首相の会見に同席した際も「個人に感染リスクの高い行動を避けてもらうことを可能にする新たな法的な仕組みの構築、あるいは現行法の活用ということも必要になってくる。こうしたことに対しては、一般の市民あるいは国民の間で様々な議論があると思うので、そういう意味では、法的な仕組み作りの検討だけは、早急に議論してほしい」などと述べた。また、全国知事会も声明で「ロックダウン的手法」を検討するよう求めている。

 

これに対し、菅首相は「諸外国のロックダウンについて、感染対策の決め手とはならず、結果的には各国ともワクチン接種を進めることで日常を取り戻してきているというふうに理解している。新型コロナというこの非常事態について今後、しっかり検証して、感染症に対するための法整備、こうしたことも含めて幅広く検討しなければならない」と述べている。

 

尾見会長は「一般の市民あるいは国民の間で様々な議論があると思う」と述べているが、確かに強制力を持った行動制限、「強制」を伴うだけで日本では強硬な反対意見が出る。

 

昨年、安倍政権が新型コロナ対策として学校の休業を決めた際も、野党などから反対論が出たし、今回のような非常事態に強制力を持った行動制限ができるようにするため憲法に緊急事態条項を盛り込むといった考えに、共産党などは「憲法改正へのコロナ利用」などと主張している。

 

私権制限、特にロックダウンでは法律論だけでなく、経済面も考慮しなければならない。ロックダウンをすれば、個人の収入が減り、それに伴い消費も減少することで、経済に大きな影響が出ることは避けられない。

ロックダウンで行動制限をし、それへの違反者に罰金をかけることばかりクローズアップされるが、個人の生活への影響をどう抑制するかがさらに重要なはずだ。個人の生活の保障と解除後の経済の活性化に再び膨大な財政資金が必要となるだろう。

ロックダウンや行動制限を議論するのであれば、こうしたことも含めて検討することが不可欠だ。

 

日本では戦後ずっと平和な社会が続いてきたため、非常事態のあり方についての検討がなされてこなかった。行動制限を行うための法的整備をするなら憲法との整合性も考えなければならず、憲法改正論議の中で議論することも必要だ。それが法治国家というものだ。

 

(terracePRESS編集部)

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