もはや何も期待できない立憲民主党
衆院選では、立憲民主党が前回議席より14議席減らし96議席となった。自民党も同様に15議席を減らしたものの絶対安定多数の261議席を確保した。同じ程度の議席の減少数だったとはいえ、もともとの議席数が異なるため、立憲民主党は〝惨敗〟と言えるだろう。立憲は「政権を担う」と主張していたが、もはや国民が何も期待できない政党だ。
立憲の枝野代表は衆院選について開票中に「小選挙区は一騎打ちで闘うことを求めている制度。最大野党としてその仕組みを作った」と述べ、立憲としての成果を強調していた。
しかし、この一騎打ちの態勢は「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」という〝市民団体〟の政策を媒介にした共闘だ。
国際情勢が厳しくなっていく中で、安全保障の確保も西側各国の協力が重要となっている中で、安保法制の廃止を求める団体が関与しているのだ。
この団体と立憲民主党や共産党、国民民主党などがそれぞれ協定を結ぶことで、野党共闘が作られている。枝野代表が「一騎打ちの態勢を作った」と言っても、各党が鳩首協議して合意したものではない。選挙協力で各党が協議したといっても、ただ単に、1団体の主張だけを媒介にした合意が前提にあるだけだ。
そうした野党共闘の〝胡散臭さ〟に加え、立憲民主党は選挙で〝利益誘導〟とも言えるバラマキ政策で有権者の関心を引こうとした。年収1000万円までの所得税ゼロや時限的な5%の消費税減税などはその最たるものだ。
財源の手当の見通しもない中で、減税を主張しても誰も信用しない。実現不可能なことを選挙で主張するのは、かつて民主党が主張したガソリン税の暫定税率廃止のようなものだ。
消費税減税もそうだ。消費税は幼保無償化などの財源に使われているが、仮に5%減税を実施するなら、それらの事業を廃止するか、別の財源で継続するかしかない。その重要な部分を素通りしたまま、減税だけ主張しても、誰にも信用されない。
さらに、今回の選挙で立憲は、政権を獲った場合の共産党との限定的な閣外協力関係も打ちだした。共産党は民主主義を否定する政党だが、そうした政党と閣外協力するのだから、立憲民主党自体が反民主主義政党と捉えられても仕方がないだろう。
共産党の志位委員長は、会見で「野党共闘が自民党を追い詰める上で大きな効果を上げている。次の参院選、総選挙でもチャレンジしていきたい」と述べているが、共産党が取っているのは立憲民主党などに対する〝誘い込み戦略〟だ。
立憲民主党の支持母体である連合でさえも共産党への警戒感を緩めておらず、共闘にも反対している。立憲民主党が、政権が欲しいばかりに共産党との共闘を今後も続けるとしたら、本当に有権者から見放されるだろう。
(terracePRESS編集部)