野党「アベノミクス効果なし」は完全なフェイクニュース
厚生労働省の毎月勤労統計など統計の不適切処理をめぐり、野党は安倍政権批判を強めている。1月30日の衆院代表質問では、立憲民主党の枝野幸男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表は、ともに毎月勤労統計の不正調査を取り上げ、「アベノミクス偽装」(玉木氏)などと、さもアベノミクスの効果がなかったと印象付けようと躍起になっている。
しかし、不適切処理があったことは事実であっても、この間のアベノミクスの効果は疑う余地はない。もし、野党がアベノミクスの効果自体に疑念を抱かせるような指摘をするのなら、それはフェイクニュースでしかない。
アベノミクスは、日本経済を成長軌道にさせるための金融や財政、その他の政策手段の総称だ。そして、その結果は国民経済計算に表れる。景気を判断する中でも、注目されるのが四半期別GDP(国内総生産)速報で、3か月(四半期)ごとに国内総生産(GDP)や雇用者報酬の伸び率などを示すものだ。
野党のフェイクニュースで、このGDP統計も実際とは異なる数値が公表されていたのではないかと国民が誤解するかもしれないが、これは全くの間違いだ。
確かに、今回の毎月勤労統計の再集計で、国民経済計算も再推計を余儀なくされ、事実、内閣府は2016年度と17年度の「雇用者報酬」を改定した。
ちなみに、雇用者報酬は16年度についてこれまで270.5兆円としていたのを271.2兆円、17年度は275.6兆円としていたのを、276.3兆円にそれぞれ上方修正している。
家計貯蓄率も、16年度2.5%を2.8%に、17年度2.3%を2.5%にそれぞれ上方修正した。内閣府は、2015年以前の再推計については今後、行うとしている。
内閣府は、国民経済計算に関連して16、17年度の雇用者報酬の再推計を行ったわけだが、実は、この数値はGDP統計とは関係ないものだ。
日本のGDP推計は支出側の財やサービスごとに、産出額を推計して国内総供給額を求め、ここから家計消費や、総固定資本形成(公共投資)など需要項目への配分額を推計している。このため、雇用者報酬の改定はGDPの推計結果に影響することはない。
安倍政権によって、GDPは名目・実質ともに過去最高水準に拡大し、景気回復は中小企業、非製造業、地方にも波及、景況感のばらつきが小さくなっている。2012年の第4四半期に493.0兆円だった名目GDPは、2019年度見通しで566.1兆円、73兆円増にもなった。
政府は1月29日、景気拡大の長さが1月で6年2カ月になり、戦後で最も長くなった可能性が高いとの見解を示している。従来の戦後最長は、リーマン・ショックのあった2008年まで6年1カ月続いた「いざなみ景気」だったが、これをも抜いたことは間違いない。
毎月勤労統計の不適切処理は、厚労省の大失態であることは間違いないが、アベノミクスで経済が確実に拡大したことも、これも事実なのだ。
(terracePRESS編集部)