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「防衛費2%目安」が必要な意味

参院選で、防衛費の増額をめぐって各党の論戦が活発化している。焦点は「GDP2%目安」だ。自民党などが「GDP2%程度の増額が必要」としていることに対して、立憲民主党などが「総額ありきではない」などと主張してる。現在の日本を取り巻く安全保障環境をみれば防衛費の増額が必要なことは明らかだ。明確な基準を設けて防衛力の強化を図るべきだ。

 

防衛費増額2%論は、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」が、「NATO諸国においては、国防予算を対GDP比2%以上とする基準を満たすという誓約へのコミットメントを果たすための努力を加速することと防衛力強化について改めて合意がなされた」などと紹介した上で、「新たな国家安全保障戦略等の検討を加速し、国家安全保障の最終的な担保となる防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と盛り込まれたことで、議論が活発化した。

 

これを受けた参院選の各党の公約をみると、自民党が「国家安全保障戦略を改定し、新たに国家防衛戦略、防衛力整備計画を策定」「NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、真に必要な防衛関係費を積み上げ、来年度から5年以内に、防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指す」としている。2%に関しては日本維新の会も公約で言及している。

 

これに対し立憲民主党は「総額ありきではなく、メリハリのある防衛予算で防衛力の質的向上を図る」、共産党は「平和と暮らしを壊す軍事費2倍化を許さない」などとしている。

 

そもそも防衛費のGDP比2%が議論になるのは、政府は現在GDP比1%を目安としているからだ。

1976年の三木内閣は国民総生産(GNP)比1%を「超えない」と閣議決定、その後総額明示方式に変更されたりした。現在はGDPを基準にした枠は定めておらず、実際に1%を超えた年もあったが、事実上、GDP比1%が目安となっている。

 

防衛費の議論をするにあたって重要なことは、日本をとりまく安全保障環境の変化と、将来にわたってどのように〝枠〟を設定するかだろう。

 

安全保障環境の変化でいえば、中国の軍事力の増大はあらためて指摘するまでもない。軍事費は膨張を続け、6月17日には、3隻目の正規空母「福建」が進水した。今回の空母は中国の完全オリジナルで、米国の空母のような射出カタパルトを初めて装備しており、技術力の進歩も示している。軍事費の増強を背景に、アジア海域への進出が急激に加速している。

 

一方、防衛費はどこかで〝プライスキャップ〟のような枠を設けることも必要だ。日本の場合、日米安保条約のもとで効率的な防衛力の整備が求められる。とはいえ、とめどない膨張に歯止めを掛ける必要があるのも事実だろう。

 

立憲民主党の「総額ありきではなく、メリハリのある防衛予算」という主張は、聞こえはいいが、〝枠〟にはなり得ない。そういう意味では「2%」という目安を示したほうが、国民にとって分かりやすい防衛政策になる。

 

(terracePRESS編集部)

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