薄っぺらな立憲民主の災害対策
日本各地で最近、比較的大きな地震が相次いでいる。阪神・淡路大震災、東日本大震災を引き合いに出すまでもなく、日本がいつか大震災が再び発生する可能性が高い〝災害大国〟であることを想起させる。さらに台風などによる水害も懸念されている。物価対策、安全保障など多くのテーマに隠れて関心が薄れがちになるが、参院選では各政党の災害対策も問われるべきだ。
日本では首都直下地震、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震などさまざまな大震災の発生が予測されている。そうした大震災はいったん発生すると多大な被害が避けられず、経済社会への決定的な影響も出てしまう。
しかし、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉にもある通り、国民は目の前に危機が迫らないと対策の必要性も忘れてしまう。だからこそ、災害対策は政治の責任でもある。
では、その災害対策について、各党はどのような政策を提示しているのか。自民党は参院選の公約で「災害対策の充実・強化を進める」として、「『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』を着実に実施」、「避難道路等の整備や避難計画の具体化・充実化等により、関係自治体と一体となって原子力災害対応の実効性向上を図る」、「災害時のデジタルを活用した情報提供や防災情報基盤の強化、消防本部等へのドローン配備、消防団を中核とした地域防災力の充実・強化に取り組む」など12項目の政策を掲げている。
中には「災害時等のペットの安全確保を推進」といったように、人命だけでなくペットの安全にも配慮した政策も盛り込まれている。
では立憲民主党はどうか。「生活安全保障のための重点政策」の中に「地域・農林水産・災害対策」の項目があるが、驚くべきことに、ここでは「強力な司令塔『危機管理・防災局』を創設する。地域、世代、性別、職業、障がいの有無などにかかわらず全ての層の代表が避難計画策定・運営などに参加する分権型の『インクルーシブ』な防災体制をつくる」とあるだけだ。
さまざまな層の代表が避難計画の策定に関与するのはいいが、実際に危機が発生した非常時に分権型がいいのかどうか議論があるところだが、それは措くとしても、災害対策をおざなりにするのは、この災害大国日本の政党としての役割を放棄しているに等しい。あまりにも薄っぺらなのだ。
確かに、公約に付属している「主な政策項目」の最後に「災害対策」として6項目が並べられているが、それも「首都直下地震、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝地震や大規模な津波に備え、耐震化、地震係数の考え方等について総括と更新を行い、新たな地震防災戦略を策定する」など抽象的な政策が並んでいるに過ぎない。
大地震はいつ発生してもおかしくはない。「新たな地震防災戦略を策定する」と言われても、地震の危険性に直面した地域の人々は途方に暮れるだけだ。
堤防の整備や建物の耐震化などのハードの整備や、避難計画、訓練の実施など具体的な対策を全力で実施しなければならない状況なのだ。立憲民主党はそれすら分からない脳天気な政党なのだろう。
(terracePRESS編集部)