個人消費の活性化で堅調に推移する実体経済
内閣府が先ごろ公表した2022年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で、1~3月期に比べ0.5%増となった。年率換算では2.2%増で、3四半期連続のプラス成長。この間、物価高で日本経済が沈没するかのようなメディア報道が続いたが、実態経済は堅調に推移した。
4~6月期の実質GDPの実額は年換算で542.1兆円となり、540.8兆円だったコロナ禍前の2019年10~12月期を上回った。
実質GDP成長率の内外需別の寄与度を見ると、国内需要が0.5%と3四半期連続のプラス寄与、財貨・サービスの純輸出は0.0%と2四半期ぶりのプラス寄与で、内需主導型となった。
需要項目別にみると、GDPの半分以上を占める個人消費(民間最終消費支出)が実質 1.1%増と3四半期連続の増加。
「まん延防止等重点措置」が3月下旬に解除されるなど新型コロナが落ち着いた時期で、3年ぶりの行動制限のないゴールデンウィークなどを挟んだことで、外食、衣服、宿泊、旅客輸送等が増加に寄与したとみられる。
民間住宅については、マイナス1.9%と4四半期連続の減少だったが、民間企業設備は1.4%増と2四半期ぶりの増加となった。
政府最終消費支出は、0.5%増と2四半期連続の増加。医療費などが増加に寄与したとみられる。公的固定資本形成は0.9%増と6四半期ぶりの増加だった。
国内需要の寄与度を見ると、民間需要が0.3%、公的需要が0.2%。民需のうち民間最終消費支出が0.6%だった。
山際経済再生相は「景気が緩やかに持ち直していることが示された」とする談話を発表しているが、4~6月期の数字を見れば緩やかとはいえ景気が持ち直されたことは事実だろう。
今春闘ではコロナ禍前の水準を実現しており、家計にはプラスに寄与している。確かに、エネルギー、原材料の輸入価格の高騰で国内物価の上昇がみられたが、ガソリン価格など政府の対策によって抑制的な価格高騰になっている。
ただし、今後については、輸入物価や世界経済の動向など不確実な要素が残っているのも事実だ。しかし、第7波となった新型コロナの影響も、行動制限を実施せずにコロナと経済の両立を図っているため、これまでの感染拡大期ほどではないと考えられる。
景気の回復基調を明確にし、さらに分配にも配慮することで自律的な経済成長を図ることは困難ではない。
(terracePRESS編集部)