限界露呈した立憲民主の緊急経済対策
政府は今月末を目途に総合経済対策をとりまとめる。物価対策の中心としてガソリンに続き電力料金、都市ガスなどの料金高騰対策など30兆円規模になると取り沙汰されている。その中で世間的にはほとんど話題にならないが、立憲民主党も先ごろ経済対策を策定し発表した。しかし、人気取りのバラマキ中心の対策となっており、立憲の限界を露呈した。
立憲民主党が取りまとめたのは物価高騰などに対応する「緊急経済対策」で、正確には「『生活氷河期』を乗り越えるための緊急経済対策」と銘打ち、14日に公表した。
驚かされるのはその対策の規模で、総額は7兆2000億円。政府が現在策定している対策が30兆円規模とされるのに比べ、あまりにも貧弱だ。
そしてその中身をみると、「家計を支える」「事業を支える」「省エネ・再エネ投資」が3本柱。
「家計を支える」では、「0~18歳までの全ての子どもへの10万円給付」「給食の無償化」「大学・専門学校等の学生の授業料負担軽減」「住民税非課税世帯の2倍の水準以下の世帯への5万円給付」などの給付が中心になっている。
その上で、あれほど政府の物価対策を批判しているにもかかわらず、今後料金の高騰が予定されている電気料金対策はみられない。エネルギー対策としては「電気料金の値上がりなど、当面の円安デメリットに対応するとともに、燃料高騰に強い経済・社会構造への転換を図るため、必要な投資を行う」として、家電の買い替え、電気自動車への買い替え、充電スタンド施設整備支援などにとどまっている。
立憲民主党のいうように現在が「生活氷河期」であるならば、家電や電気自動車の買い換えをするような家庭もほとんどないはずなのだが、対策ではそのための補助など省エネ投資の促進が中心となっている。
3本柱の内訳をみると「家計を支える」が4兆9000億円、「事業を支える」が8000億円、「省エネ・再エネ投資」が1兆5000億円となっており、国民への給付などに手厚い対策、いわゆるバラマキ型となっている。
もちろん、バラマキが悪いわけではない。収入が減っている人や少ない人に給付し、消費してもらうという考え方は当然ある。しかし、給付さえしていればいいと考えるのは間違いだ。
立憲の長妻政調会長は「(経済対策に)公共事業を紛らわせて必要性の低いものを入れていくというやり方について我々は疑義を持っており、懐にきちっと届くというような確実な政策ということで出した」と説明している。
しかし、必要性の低いものは別として、防災対策など公共事業を行うことで社会に金を環流させ、なおかつ防災対策ができれば何も問題はない。
給付により消費を刺激すれば経済は活性化する。立憲民主党はそう判断しているのだろうが、あまりにも稚拙だ。経済対策を策定したとは言っても、そもそもA4のペーパーに2枚。
こんなお手軽な経済対策で物価対策も、経済活性化ができると考えるところが立憲民主党の限界なのだろう。
(terracePRESS編集部)