高まる安倍政権の「全世代型社会保障検討会議」への期待
先ごろの内閣改造を経て安倍政権は「あらゆる政策分野においてこれまでの発想にとらわれない、大胆な改革に挑戦していく」という。これまでも安倍政権は、さまざまな改革に取り組んでおり、それが国民に評価されたからこそ、7年目を迎えた長期政権を可能としている。その改革の姿勢を加速させることが安倍首相の「第4次安倍第2次改造内閣」の使命になるわけだ。
その改革の課題の一つが社会保障制度だ。少子高齢化が進む一方で、ライフスタイルが多様化。つまり、人生100年時代を迎える中で、70歳まで、または70歳を過ぎても働きたいという人も急増している。そうした人々の就労意欲に応えることができる労働環境を整備しながら、誰もが安心できる社会保障制度を構築するための改革が必須となっている。
安倍首相は内閣改造後の記者会見で、「70歳までの就業機会の確保、年金受給年齢の選択肢の拡大、さらには医療、介護など、社会保障全般にわたる改革を進める」と述べているが、これはまさに、国民が安心して日々の暮らしをしていくための改革だ。
とはいっても、国民が安心できる社会を構築することは、厚生労働省や財務省、経済産業省など所管が各省にまたがることもあり、その改革を進めるため、新たに「全世代型社会保障検討会議」を設ける。ここで年金や医療、介護を含めた社会保障制度の在り方を議論し、具体策を策定していく見込みだ。
少子高齢化の進展は、マスメディアなどで問題点が指摘されるが、実は、国民が実感することはなかなか難しい。もちろん〝高齢者が多くなってきた〟というような実感はあるかもしれないが、それが国にどのような影響を及ぼすかとなると、ぴんと来ないというのが実情だろう。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、65歳以上の高齢者人口は2042年に3935万人とピークを迎える。これに対し支え手となる20~64歳の現役世代は大幅に減少する見通しだ。これは「2040年問題」と呼ばれている。
実は、2040年問題の前にも、2024年には団塊の世代すべてが75歳以上になるという「2025年問題」と呼ばれるものもある。
こうした社会では、年金財政、国家財政に深刻な影響が出ることが避けられない。そして、それは国民一人一人の生活が脅かされるということに他ならない。
安倍政権はそこに果敢に切り込み、誰もが安心して暮らすことのできる社会の構築を目指すということになる。
(TerracePRESS編集部)