テレワークは働き方改革の一環
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による首都圏1都3県への緊急事態宣言は、企業にテレワークの導入など働き方の見直しを要請することとなった。テレワークは昨年の緊急事態宣言により、日本の企業が初めて大規模、本格的に導入したが、新型コロナが落ち着くにつれ、その熱意は急速に冷めた。今回の宣言により再度脚光が当たることになったが、これを契機に定着させる必要がある。
テレワークを巡っては厚生労働省が昨年末「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」をとりまとめている。
報告書は、これからのテレワークでの働き方を考える上で「対象者を選定する際の課題」「労務管理上の課題」「労働時間管理の在り方」「作業環境や健康状況の管理・把握、メンタルヘルスの対応方針」といった様々な観点について有識者の意見をまとめている。
また、テレワークを推進するに当たって必要な今後の対応などについての提言も盛り込んでいる。
総論的な部分では、「テレワークの推進には企業のトップや経営層の理解が不可欠であり、企業が方針を示すなど企業全体として取り組む必要がある」「テレワークの推進のためには、わかりやすいマニュアルが必要であり、テレワークガイドラインを見直すべきである」などとしている。
実際、経営層の理解が得られないためにテレワークを認めない企業もまだ多く、導入していたとしても、マニュアルが未整備のままの企業も珍しくない。
「対象者の選定」については、「一般にテレワークを行うことが難しい業種・職種であってもテレワークを実施できる場合があり、必ずしも既存の業務を前提にテレワークの対象業務を選定するのではなく、仕事内容の本質的な見直しを行うことが有用である場合がある」とした上で、正規雇用労働者、非正規雇用労働者といった雇用形態の違いのみを理由として、テレワーク対象者を分けることのないようにすることが必要と強調している。
「人事評価」では、「テレワークを行わずに出社しているということのみで高く評価することや、テレワークを行う者が時間外のメール等に対応しなかったこと等のみを理由として不利益な人事評価を行うことは不適切である」と指摘。
また、どの企業でも悩みのある「労働時間管理」については「テレワークは、業務を効率的に行える側面がある一方、長時間労働になる可能性があり、過度な長時間労働にならないように留意する。一方で、使用者が仕事の遂行状況を常時把握・管理するような方法はあまり現実的ではない場合もあり、テレワークのメリットを失うことになりかねないという点についても留意が必要である」と述べている。
以上のように報告書ではさまざまな課題や取り組みの方法が盛り込まれている。しかし、最も重要なことは、テレワークが新型コロナの感染防止対策だけでなく、働き方改革の推進のために、推進する必要があるということだ。むしろこちらの方が本質だ。
(terracePRESS編集部)