相次ぐ地震、防災対策の加速が急務
福島や宮城、和歌山などの県を中心とした地震が相次いだ。和歌山県沖地震は別として、東日本大震災から10年を迎えても東日本の太平洋側では余震が終息していないことを示した。そうした中、政府の地震調査委員会が全国地震動予測地図の2020年版を公表。太平洋側で30年以内に震度6弱以上が発生する確率が上がっており、改めて防災対策の重要性を認識させた。
全国地震動予測地図は、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を地域ごとに示したもの。今回の改訂では、新たに東日本大震災などの余震の影響を計算に取り入れた。
その結果、東北地方の太平洋側では確率が上がったほか、都道府県庁の所在地47地点のうち確率が最も高い区分(26%以上)に該当したのは4割超の21地点となった。
確率が高かったのは、水戸市(81%)、徳島、高知両市(各75%)、静岡市(70%)などとなり、東日本大震災の震源域となった日本海溝沿いや、巨大地震を繰り返す南海トラフに近い太平洋側の地震発生リスクが高くなっている。
今回の改訂は東日本大震災の余震の状況などを加味したもので、日本が再び巨大地震に見舞われるという将来的な状況が大きく変化したわけではない。
政府はこれまでも、国土強靱化など災害に強い国作りを進めており、2021年度予算でもさまざまな施策を進める見込みだ。
例えば「南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策等の推進」として、2020年度第3次補正予算と合わせて3,148 億円を投入し、「切迫する南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震などの大規模地震に備え、想定される被害特性に合わせた実効性のある対策を総合的に推進する」としている。
具体的には、「河川・海岸堤防等のかさ上げ・耐震対策、水門等の自動化・遠隔操作化等の推進」「津波浸水等を軽減するための粘り強い海岸堤防・防波堤等の整備の強化」「基幹的交通ネットワークを保全するための土砂災害対策の推進」「帰宅困難者等を受け入れるための施設の整備に対する支援」などで、いずれも巨大地震に備えるための重要な施策だ。
ちなみに、あまり世間には知られていないが、国土交通省は、大規模自然災害などの被災自治体を支援する緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)を編成している。隊員は現在約14,000 人に達し、これまで 100を超える自然災害に対して、延べ12 万人超の隊員を派遣している。
南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの巨大地震に対応するためには、さまざまな施策にしても、TEC-FORCEのような取り組みにしても平素の備えが不可欠となる。菅政権は、その災害対策を着実に加速させている。
(terracePRESS編集部)