立憲は単独過半数を目指すのか
立憲民主党が次期衆院選で、衆院定数の過半数にあたる233人以上の候補者擁立を目指すという。小選挙区制が目指した二大政党制という視点に立てば、立憲民主党が単独過半数を目指すことは好ましいことだ。しかし、それが〝全体主義〟を目指す共産党との選挙協力を行うということになれば、政権ほしさに民主主義政党の魂まで売ることと等しい。
立憲民主党の枝野代表は、7月29日の記者会見で、衆院選候補者の擁立について「やはり単独で過半数以上の候補者を立てるというのは最大野党の本来あるべき姿であると従来から思っていた。(中略) 場合によっては小選挙区だけでも233を可能かもしれない、少なくとも比例単独の候補者を含めれば実現可能性も見えてきた中で、やはり政権を目指す政党として、なおかつそのこと自体が他党との連携にご迷惑をかけるようなことはないと思うので、目標をバージョンアップした」との考えを明らかにした。
枝野氏はここで「単独で過半数以上の候補者を立てる」ことが最大野党のあるべき姿と言っている。しかし、最大野党のあるべき姿は、単独過半数を確保できる候補者を擁立することだ。衆院定数の半数以上の候補者を擁立するだけでは意味はほとんどない。仮に234人擁立しても、現実には1人も落選しないで単独過半数を確保することなどあり得ず、半数以上の候補者擁立ということであれば、単なる言葉遊びに等しい。
単独過半数を確保できる十分な数の候補者を擁立することによって初めて、「政権選択」といった主張にリアリティーがでるのだ。
そして最も重要なことが、その過半数を超す候補者が何を訴えるのかということだ。
枝野氏は29日の会見で、政権構想、選挙公約について「最終的にどういう形でどのタイミングで出すのかというのは、実はご承知のとおりCOVID-19の状況が、例えば、今、最短で準備をしている10月3日投票になるのか、それとも最長あり得る11月28日になるのか、その間の感染状況によって、その一番ある意味で国民の皆さんがご関心の部分は変動があり得ると思っている。(中略)そうしたものを見極めながらやっていかなければならないと思っている一方で、さまざま地域での活動を強化していく上でも、そのプレ段階のものは、できれば8月中ぐらいには何らかの形でお示ししたいということで準備は進めている」と述べている。
驚くことに、国民の関心が最も高い新型コロナの状況が選挙の際にどうなっているか分からないから、ちゃんとしたものは作りにくい。だから8月中に〝プレ段階〟のものを公表するというのだ。
政府・与党は現実の新型コロナの感染状況に応じて対策を講じて感染防止を進めているが、それを批判している側が、状況を見極めないと作れないなどと言っているわけだ。
これで、批判を受けようともやるべきことをやらなければいけないという行政側の立場とは異なり、お気楽な立場だ。
政権を目指すというのなら、単独過半数を確保できるであろう候補者数を揃え、政権構想をいち早く国民に示し、国民の共感を得なければならない。もちろん、共産党との選挙協力など論外だ。そうしたことによって初めて有権者の大きな支持を得ることにつながる。
(terracePRESS編集部)