「新しい資本主義」が日本の未来を拓く
政府は先ごろ「新しい資本主義実現会議」の初会合を開催した。岸田首相が掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向けた具体策づくりのスタートだ。衆院選では立憲民主党は国民に受けのいい「分配」ばかり主張。消費で経済を牽引すると言うが、成長戦略がない国の経済が縮小するのは当然だ。分配ばかりでは、そのツケはやがて国民に返ってくる。
「新しい資本主義実現会議」の初会合では、議長を務める岸田首相が終了前に「成長戦略で生産性を向上させ、その果実を働く人に賃金の形で分配することで国民の所得水準を伸ばし、次の成長を実現することが重要だと共有できた」と述べた。まさに「成長の果実を分配に」だ。
新しい資本主義実現会議が今後行う議論の論点は、大きく分けると2つだ。その1つは「日本が目指す新しい資本主義の形」だ。これまで政府の経済政策でGDPの拡大や雇用の確保など成果を上げてきたが、デジタル対応の遅れや非正規・女性の困窮、気候変動などに向けた経済社会の持続可能性の確保、テクノロジーをめぐる国際競争の激化などの課題がある中で、日本型の新しい資本主義を作り出さなければならない。
そして、論点のもう1つが「各主体の関与のあり方」だ。新しい資本主義を作るためのさまざまな課題を解決するため「政府」、「企業(経営者、働き手、取引先)」、「イノベーション基盤(大学等」といった各主体が果たすべき役割や、「国民・生活者」の参画のあり方など、官民それぞれが役割、協力のあり方を検討する。
その上で「成長戦略」と「分配戦略」を構築する。「成長戦略」では科学技術や、農林水産業や観光業なども含めたデジタル化による地方活性化、経済安全保障などの策定が求められる。
一方、「分配戦略」では分厚い中間層の構築や、全世代型社会保障の構築、持続可能な社会保障などが課題となる。
立憲民主党は「分配」による個人消費の活性化を主張しているが、「成長戦略」がなければ持続的な成長ができないという認識が全く欠如しているのだろう。
日本版GPSを目指す測位衛星「みちびき初号機後継機」を搭載したロケットが26日に打ち上げられたが、メディアではあまり報じられなかった。それはもうすでにロケットの打ち上げが日本にとって当たり前のことになったからだ。それはこれまで日本が技術開発と宇宙開発戦略を推進し、投資してきたからだ。その結果、日本版GPSができれば日本国民の便益にも寄与できるし、安全保障に役立つわけだ。
立憲民主党の、分配重視政策は、こうしたさまざまな成長戦略より国民への分配を重視し、それによって「どんどん物を買ってもらおう」「消費してもらおう」という単純なものでしかない。分配を優先させるから、社会や科学技術への投資も抑制しなければならなくなる。
かつての民主党政権は、小惑星りゅうぐうへの着陸を成功させたJAXAの「はやぶさ2」さえ打ち切ろうとした。結局は、各界の反発があって打ち切りを撤回したが、そのまま打ち切ったら「はやぶさ2」の世界的偉業は実現しなかった。
政府は、「成長と分配の好循環」を目指す「新しい資本主義」を実現するための議論をスタートさせた。その一方、立憲民主党は分配重視。どちらの政策が日本の新しい社会を構築するために必要なのか、答えは明白だ。
(terracePRESS編集部)