岸田首相「デジタル・インフラの整備を加速し地方活性化」
政府は先ごろ、経済財政諮問会議を開催し、地方活性化や社会保障を議論し、DXなどデジタル技術の活用による地方の活性化や、農業、観光業、中小企業の輸出力を強化する方針を打ち出した。6月に策定する骨太方針に向けた検討を本格化させた。骨太方針、新しい資本主義の実行計画など、岸田政権による今後の日本の具体的な方向性が定まる。
岸田首相は会議で「デジタル・インフラの整備を加速し、デジタル田園都市国家構想の実現を通じて、地方の活性化を強力に進める。地方活性化のキーワードは『集中から分散』。デジタルトランスフォーメーションを活用し、地方の特色ある歴史や文化、食といった無形資産の価値を高め、農業や観光業、さらには地方の中小企業の輸出力を強化していく」と述べ、地方活性化に強い意欲を示している。
現在、地方創生を進めるための具体的な支援策としては、「デジタル田園都市国家構想推進交付金」をはじめとする各種交付金や、スーパーシティ、デジタル田園健康特区(仮称)など特区制度による規制改革などがある。
デジタル田園都市国家構想推進交付金は「デジタル実装タイプ」「地方創生テレワークタイプ」などがあり、「デジタル実装タイプ」は、デジタルを活用した地域課題の解決や魅力の向上を図るため、他の地域などで既に確立されている優良なモデルなどを活用し、迅速に横展開をする事業など等に取り組む地方自治体を支援。
また、「地方創生テレワークタイプ」は、地方への新たなひとの流れを創出するため、サテライトオフィスの整備などに取り組む地方自治体を支援する。
こうしたさまざまな支援策で地方活性化に取り組むが、会議では「『集中から分散』がカギ。DXの活用などを通じて、農業や地方中小企業の輸出力を強化するとともに、地方の文化や自然など『無形資産』を付加価値創出に結び付け、コロナで縮小したインバウンドの復活に取り組むべき」といった意見が出されている。
さらに「地方大学を核としたオープンイノベーションや、スタートアップ、高度人材の集積を促進し、地方のイノベーション力を強化すべき」「副業・兼業の促進など、地方での就労機会を拡大し、オンラインを含めた多様な人材交流を促すことで、地方の労働人口減少を補いつつ付加価値創造につなげるべき」などの提言もあった。
地方の活性化には、魅力的な空間を作ることが不可欠だ。例えば、デジタル田園都市国家構想など地方創生の実現には、内外の多様な人材が必要となる。このため、そうした人材を惹きつける魅力的な空間、拠点づくりのほか、若い人たちの地方移住への関心の高まりを捉え、地方で安心して子育てなどができたり、女性が自分の能力を自由に発揮できたりする、魅力的な地域づくりを促進する方針だ。
岸田首相は「地方の課題を解決し、地方発のボトムアップ型の経済成長を目指す」としている。地方の活性化はこれまで以上に重要な課題となっており、岸田政権は積極的に取り組む考えだ。
(terracePRESS編集部)