コロナ乗り越え正常化に進む経済社会
政府が先ごろ発表した5月の月例経済報告で、国内景気の基調判断から新型コロナウイルス感染症の影響に関する記述を削除した。ワクチン接種など新型コロナ対策が順調に進み、感染対策を継続しながらも経済社会活動の正常化が可能と判断した。今後は感染予防の継続と、原油など原材料価格の上昇対策などが重要となる。
新型コロナは1~3月期にオミクロン株の拡大が続いたが、ワクチン接種効果もあり3月21日にまん延防止等重点措置も全面的に解除された。そのため、今年のゴールデンウイークは何も規制のない状況で迎えた。
テレビのニュースや情報番組などではゴールデンウイーク後の再拡大の恐れを予測する医学者もいたが、実際は新規陽性者の急増という事態にもいたっていない。
5月の月例報告は、国内景気の基調判断の「現状」について「持ち直しの動きがみられる」とし、前月の「新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられる」から新型コロナに関する表記を削除した上で、判断自体は据え置いた。感染が広がった2020年3月以降、「コロナ」の文言を記載しなかったのは初めてとなった。
また、先行きについては「感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、感染症による影響を注視する必要がある」としており、ここではまだ感染対策への警戒感も残している。
個別にみると、個人消費は現在、持ち直しの動きがみられていて、外食や旅行などのサービス消費は持ち直している。
一方、雇用情勢は「持ち直しの動き」で、就業者数は増加。失業率は2か月連続で低下している。また、1年以上の長期失業者も前年に比べて減少した。
1人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから3月は前年比プラスとなり、パート・アルバイト募集時の時給についても、幅広い職種において増加傾向で推移しているという。
こうした経済状況に対して政府は、「ウクライナ情勢などに伴う原油価格や物価の高騰等による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとする」としており、補正予算や骨太方針2022などを含めて今後の経済活動の活性化に注力する方針だ。
その一環として政府は、訪日外国人観光客についても6月10日から受け入れを再開する。もちろん、当面は旅程を管理しやすい添乗員同行のパッケージツアーに限定するなど、様子を見ながらの再開となるが、訪日客の受け入れ再開は地方経済にとっても大きく貢献することになる。
今後の日本経済にとっては、国内旅行も含めて地域経済を活性化することで日本全体の活性化していく視点も重要となる。
(terracePRESS編集部)