「国難」に対応した岸田政権の1年
岸田政権はこのほど、政権発足から1年が経過した。岸田首相は、新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ侵略、円安と物価高など「国難」ともいえるこの1年の舵取りを果たした。メディアの世論調査では岸田内閣の支持率は低迷しているが、さまざまな課題が山積している中でも日本の国民生活は安定的に推移している。
共同通信社が8、9日に実施した10月の全国電話世論調査では、岸田内閣の支持率は35.0%となった。9月の前回調査より5.2ポイント減。不支持率は48.3%で前回より1.8ポイント増となった。
安倍元首相の国葬の実施、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党議員の関係などが国民に容認されていないというのがメディアの一般的な見方だ。また、物価高なども支持率の減少の要因だ。
岸田政権は発足以来、さまざまな難題に直面してきた。安倍政権、菅政権と同様に新型コロナ対策は政権の重要課題となったが、それに加えロシアのウクライナ侵略という信じがたい事態が発生、それに伴うエネルギーなどの資源価格の高騰、ドル高に伴う円安が進み、輸入物価も高騰するなど、まさに「国難」といえる事態が生じた。
さらに、台湾海峡で緊張が高まったり、北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射したりするなど北東アジアの緊張も高まっている。
こうした中で岸田首相は政権を運営してきたわけだが、冷静に見ればこのような「国難」ともいえる事態の中で、少なくとも国民の生活は大きな混乱も生じていない。
共同通信の調査では、食料品などの値上げが「非常に打撃になっている」「ある程度打撃になっている」が計78.9%に達している。一方で「あまり打撃になっていない」などは計21.1%となっており、国民が食料品などの値上げの影響を被っていることを示している。
確かに、食料品などの物価は上昇しており、それが国民生活に影響していることは間違いない。しかし、それでも物価の上昇は他の国々と比べて抑制されており、それは岸田政権の物価対策によるところが多い。
その一方で、岸田政権は物価上昇を吸収できる賃上げを実現することに全力で取り組む考えだ。首相の掲げる「新しい資本主義」は成長と分配を両立させるものだが、すでに今春闘では賃上げを実現したし、また来春闘での賃上げを誘導したい考えだ。
岸田首相は1年を振り返って、新型コロナ対応、ロシアによるウクライナ侵略、エネルギー・食料危機、物価高騰などを挙げながら「正に日本も、また世界も、歴史的な、大きな転換点にあるのではないかと、このように感じている。こうした次々と起こる事態に対して、国民の信頼と共感を頂きながら、こうした事態に立ち向かい、そして未来を切り開いていく、これが総理大臣の役目であるということを感じている」と述べている。
今の日本に求められるのは、歴史的な転換点の先にどのような経済社会をつくるのか、ということだ。
(terracePRESS編集部)