GDPが2四半期連続のプラスに
2019年1―3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値が実質で前期比0.5%増、年率換算で2.1%増となった。プラス成長は2四半期連続となった。足元の景気が弱含みで推移していることから、事前には小幅ながらマイナス成長の予測が多かったが、プラス成長を維持したことで依然として日本経済が成長していることを裏付けた。
2019年4-6月期のGDP(速報値)は、8月9日に公表されるため、参院選前に公表されるGDPは今回の1-3月期となる。それだけに、参院選、消費税アップなどに関連し、プラス成長であってもメディアには「内需の柱である個人消費は弱く、景気の実態は数字ほど良くない可能性がある」「10月の消費税増税の実施をめぐる不安は、引き続きくすぶりそうだ」などネガティブな見方が多い。
何事もネガティブにみるのはメディアの性みたいなものだが、確かに景気の足取りが重いことも事実だ。今回の実質GDPのうち、過半を占める個人消費は暖冬の影響で衣類の販売が振るわず、自動車も伸び悩んだことなどが響きマイナスとなったが、ただし、前期比0.1%減だ。
政府最終消費支出は全体で0.2%減となったが、公的固定資本形成(公共投資)は1.5%増と5 四半期ぶりの増加となった。
今回のGDPについて茂木敏充経済財政担当相は「内需の増加傾向は崩れていない」と強調。麻生太郎財務相も「2四半期連続のプラスで決して悪くはない」と述べたうえ、2019年度予算の執行が今後進むとし「景気は良くなると判断する」と指摘している。
財務相が指摘している通り、これから2019年度予算の執行が本格化する。2019年度予算は101兆4,571億円の過去最大となり、公共事業関係費は約9,000憶円増の6兆9,099億円となっており、積極型の予算となっている。
現在の日本経済は、それこそリーマン・ショック級の外的要因がない限り、低成長が続くことは間違いない。四半期ベースでは今回のようにプラスやマイナスの符号が変わるギリギリのところになることもあることは事実だ。しかし、それでも幼児教育や保育の無償化を進めるための財源となる消費税の増税は不可欠だ。
野党からは参院選を前に「景気が良くないのだから、消費税アップをやめるべき」との声が上がっているが、野党には消費税増税が少子化対策を進める上で〝前向きな増税〟であることは理解できないのだ。
(terracePRESS編集部)