政権選択肢などあり得ない合流新党
自民党総裁選の裏で、立憲民主党と国民民主党などが合流して結党する新党の代表選挙が進んでいる。選挙には立憲民主の枝野代表、国民民主の泉政務調査会長が立候補するが、枝野氏の有利が伝えられている。野党は政権の選択肢を示すとことあるごとに口にするが、国民からの信頼が全くないのが現状だ。
枝野氏は立候補を表明した際「新型コロナウイルスによる危機に、政府が機能していない。合流新党が、状況を切り開き、誰もが希望を持てる未来を、国民とともにつくる政党にならなければならず、すべての情熱と力を注ぎ、先頭に立って、右でも左でもなく前に進んでいく」と述べた。
枝野氏は「国民とともに」とは言うが、その国民はそっぽを向いている。朝日新聞が4日付け朝刊で報じた世論調査によると、政党支持率は立憲民主が3%、国民民主は1%にすぎないのだ。これに対し自民は40%となっている。野党寄りの結果になりがちな朝日新聞の調査でもこうなのだ。
ちなみに、第2次安倍政権の実績評価については71%が「評価する」と答えている。
これをみれば、現在国民が求めているのは、安倍政権を継承する新政権で、野党に対する期待はまったくと言っていいほどないのが実情だ。
そうであれば、立憲と国民の合流新党は本来、国民の信頼を得られるようなものになるべきなのだろうが、どうやら国民の評価などどこ吹く風のようなものでしかない。
枝野氏はそもそも、あの民主党政権の主要人物だ。枝野氏だけではない。菅元首相は現在も立憲民主党だし、現在は国民民主の小沢氏も加わる。そしてその新党には、これまで立憲、国民両党に距離を置いていた野田元首相や岡田元副首相も参加するのだ。まさに民主党の再来ではないか。
事実、新党名をめぐっても枝野氏が「立憲民主党」を提起しているのに対し、泉氏は「民主党」を提案しているほどだ。合流新党が民主党の再来となることは間違いないだろう。
立憲、国民両党とも、ことあるごとに安倍政権を批判していたが、民主党政権の首相だった鳩山由紀夫氏に「野党の皆さん、安倍政権の間どこにおられたのですか」「共産党だけは頑張ってましたが、長期政権に最も貢献したのはあなたがたでしたね」とツイッターで皮肉られる始末だ。
もっとも、民主党政権の最大の汚点は鳩山首相を誕生させたことだし、その支離滅裂な元首相が支離滅裂な野党を皮肉っても、そこからは何も生まれないだろう。
立憲民主と国民の合流は、労働組合の連合が主導したものだ。その連合の組合員数は700万人と言われている。本来は7%程度の支持率があっても良さそうだが、連合の組合員にすら信頼されていないのだろう。
日本の経済社会を未来に向けて構築するには、当面は安倍政治を継承し、さらに発展させることが必要なのだ。
(terracePRESS編集部)