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一極集中解消のため真正面からの取り組みを

新型コロナウイルス感染症の拡大で地方圏での生活が見直されている。テレワークの推進もあり、地方への移住や地方移転する企業の動きも出ている。そうした中、国土交通省の「企業等の東京一極集中に関する懇談会」が先ごろ、東京一極集中の要因分析と是正に向けた取組の方向性などについてのとりまとめを公表した。

 

現在、東京圏の人口は全国の約3割を占め、他国の首都圏と比べても人口集積の比率が高い。近年も集中傾向が続いているが、直近は新型コロナの影響で緩和傾向を示している。東京圏への転入超過数の大半は大学生から新社会人の10~20歳代の若者が占めており、男女別にみると、女性が男性を上回っている。

 

こうした一極集中の要因についてとりまとめは、「修学・就職のために20代前後の層の流入」と「魅力・利便性・自由度の高さなどを求める流入」「一度東京に来ると地方に移住しにくい環境」の3つに大別している。

 

「修学・就職のため」をさらに分析すると、①大学の東京への偏在 ②企業の本社などの東京への集中 ③賃金の高さ-の3つが考えられ、また「地方に移住しにくい環境」では ①終身雇用 ②職務や地域を限定した採用の少なさ ③子供の教育-などが要因となるという。

 

とりまとめではこうした東京一極集中のリスクについて「東京圏では首都直下地震等が切迫する中で、人や諸機能・施設が過度に集中しており、リスクの高い状況にある」と指摘している。しかし、一極集中がもたらすものは災害対策へのリスクだけではないことも明白だ。

新型コロナでは人口集積地ほど感染症に脆弱なことが明らかになったし、そもそもバランスの良い国土を作ることが、国民一人一人の生活を豊かにするのだ。

 

新型コロナは一極集中を緩和する契機になったが、そのためにはテレワークの推進や地方で就学、就労できる環境の整備、新たな価値観や生活様式への転換など課題は多い。

テレワーク一つとっても「受け皿となる地方や東京郊外の生活・仕事環境の充実」が必要だし、「居住地を問わない採用や昇進制度の導入」「情報通信基盤の整備、セキュリティー機能の強化」「リアルで対面する際の移動の利便性の向上」などが必要になるという。

 

また、地方での就学促進も「オンラインで居住地域外の大学の単位を取得できる制度の拡充」や「各地方大学における強みを生かした競争力の強化」「地方大学の学生が地元企業との共同研究等を通じて、地元で就職する好循環の実現」などが必要となる。

 

とりまとめは留意事項として、地方創生の観点からの集中解消か、都市の過密解消などの観点からの集中解消か「施策の目的に応じて対象エリアを検討・明確化していく必要がある」と指摘している。また、東京の国際競争力の維持・向上とのバランスを図ることも重要だ。東京一極集中の解消は、政府が本気になって取り組まなければ実現が難しい問題だ。

 

(terracePRESS編集部)

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