五輪閉幕〝主張は正しかった〟と朝日新聞
五輪が閉幕した。1年遅れの無観客開催という異例な五輪だったが、アスリートやボランティアの〝戦い〟は、感動を与えてくれた。今回の大会について朝日新聞は開催前、中止を求める社説を掲載したが、閉幕しても主張の正しさを強調した。太平洋戦争は空想的軍事主義者が招いたものだが、朝日新聞は現在も根拠もなく空気を作り出す戦前の新聞と同じ体質だ。
9日付け朝刊の社説では「朝日新聞の社説は5月、今夏の開催中止を菅首相に求めた。努力してきた選手や関係者を思えば忍びない。万全の注意を払えば大会自体は大過なく運営できるかもしれない。だが国民の健康を『賭け』の対象にすることは許されない。(中略)しかし『賭け』は行われ、状況はより深刻になっている。懸念された感染爆発が起き、首都圏を中心に病床は逼迫し、緊急でない手術や一般診療の抑制が求められるなど、医療崩壊寸前というべき事態に至った」と述べている。
大会前に「万全の注意を払えば大会自体は大過なく運営できるかもしれない」とは思っていたが、国民の健康を「賭け」の対象にしてはならないから、反対したというわけだ。
朝日新聞がまず考察すべきは、今回の大会が、自ら指摘したように「大過なく運営できた」かどうかだろう。大会期間中、各アスリートの競技をテレビ観戦し、閉会式を見た国民のほとんどは「大過なく運営できた」と思っただろう。
しかし、朝日新聞はそれについて何の見解も示していない。それはそうだ。社説は「『賭け』は行われ、状況はより深刻になっている。懸念された感染爆発が起き…」と続けているのだ。これを素直に読めば、大会が行われたから感染爆発が起き、状況はより深刻になったということだろう。
それを証拠に、社説は「市民に行動抑制や営業の自粛を求める一方で、世界から人を招いて巨大イベントを開くという矛盾した行いが、現下の危機と無縁であるはずがない。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂分科会長は4日の衆院厚生労働委員会で『五輪が人々の意識に与えた影響はあるというのが我々専門家の考えだ』『政治のリーダーのメッセージが一体感のある強い明確なものでなかった』と述べた。至極当然の見解である」とも指摘している。
五輪を開催したことによって、感染爆発した。それが朝日新聞の主張だ。しかし、そこには何の根拠もない。分科会の尾見会長も「五輪が人々の意識に与えた影響はあるというのが我々専門家の考えだ」と言っているが、ここでも何の科学的根拠は示されていない。
今回の感染爆発はデルタ株がもたらしたものだ。もちろん日本だけではなく、米国や英国、アジアでも韓国などと同じように感染が拡大している。しかし、朝日新聞はそれを無視して五輪と感染拡大を結びつけたわけだ。
太平洋戦争を招いた空想的軍事主義者は、根拠など何もないままに机上の空論を積み重ね、結果として戦争を起こした。朝日新聞は、五輪と感染拡大の関係について「現下の危機と無縁であるはずがない」と書いているが、まさに空想主義者の発想だ。空想主義のメディアは国を危うくする。
(terracePRESS編集部)