中国〝第2海軍〟への対応強化を
中国の海上警備を担う中国海警局(海警)に武器使用を認める権限などを定めた海警法が成立、2月1日から施行される。海警局の船舶は尖閣諸島の日本領海にたびたび侵入しており、〝第2海軍〟として活動を活発化させることになれば、緊張が増す恐れもある。日本としての対応を強化する必要が出ている。
海警局はもともと中国国務院(政府)の国家海洋局に属していたが、すでに2018年の組織改正で人民武装警察部隊(武警)の傘下に編入されている。
海警法は、中国の主権などが外国の組織や個人によって不法に侵害されたときに「武器の使用を含めたあらゆる必要措置」をとる権利があると明記。外国の組織や個人が中国の島・岩礁などに建設した構造物についても「強制的に取り壊すことができる」と規定している。
もし尖閣諸島の日本領海や排他的経済水域(EEZ)で操業している日本漁船に対し、中国が一方的に〝中国の主権を不法に侵害〟していると判断した場合、武力による対応措置をとることも可能となるわけだ。
こうした中国の変化に対し、日本は毅然とした対応をとることが肝心だ。茂木外相は今国会の外交演説で「尖閣諸島周辺海域を含む東シナ海における一方的な現状変更の試みは、断じて認められない。今後とも日本の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの決意の下、冷静に、かつ、毅然と対応していく」と語っているが、このように常に日本の決意を示すことが中国の不法な行動をけん制する抑止力にもなる。
もちろん、具体的な対策も不可欠だ。菅政権は2021年度予算案に、「尖閣領海警備体制などの強化」として、継続案件としてヘリコプター搭載型巡視船3隻、大型巡視船3隻などのほか、新規案件として大型巡視船1隻などの整備を盛り込んでいる。
こうした装備面の増強を裏付けるには人的確保も必要だが、尖閣も含めた日本の海上保安体制の強化のための要員として海保職員385人の増員も計上している。
また、尖閣の安全保障には米国との同盟強化も不可欠だ。これについても岸防衛相が24日、新たに発足したバイデン米政権のロイド国防長官と初めての電話会談を行い、軍事的影響力を強める中国に関連し、尖閣諸島が米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象だと確認した。
中国・海警局の艦船が今後、〝第2海軍〟として尖閣諸島で軍事的圧力を強めていくことは間違いないだろう。
事実、14日には海警局の公船1隻が尖閣諸島周辺の領海に侵入し、日本漁船1隻に接近しようとする動きを見せた。その際は海上保安庁の巡視船が漁船を保護したが、今後、同様のケースが繰り返されるだろう。日本はその一つ一つに毅然とした対応をしていかなければならない。
(terracePRESS編集部)