「インフレ手当」まで飛び出す人気取りだけの野党各党
新型コロナウイルス感染症の抑制解除による世界経済の活性化やウクライナ情勢などによる原油などのエネルギーや原材料の輸入価格の高騰で国内物価が上昇している。商品やサービスの上昇が家計に影響している。こうした中で立憲民主党や日本維新の会、国民民主党などから消費税減税や給付金などを求める声が相次いでいる。まさに後先考えない〝人気取り政策〟のオンパレードだ。
日本銀行が4月にまとめた「経済・物価情勢の展望」では、「物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、携帯電話通信料下落の影響が剥落する 2022 年度には、エネルギー価格の大幅な上昇の影響により、いったん2%程度まで上昇率を高めるが、その後は、エネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想される」と指摘している。
具体的に日銀政策委員の消費者物価指数の見通しをみると、2022年度はプラスの1.8~2.0。今年1月時点の見通しがプラス1.0~1.2だったから0.8程度上昇している。
23年度については0.9~1.3、24年度は1.0~1.3となっている。
つまり、現在の価格高騰は輸入物価の高騰によってもたらされたもので、日銀が本来目指している2%程度の物価上昇とは違う。その点は残念なことだが、今の状況は一時的なものと言えるわけだ。
さて、こうした〝物価高に苦しむ家計〟について野党は、「対策」「対策」の大合唱だ。もちろん対策をするのは当然だが、それは本当に生活に困っている人たちに限定すべきだろう。
しかし、野党の言い分は違う。例えば国民民主党の玉木代表は国会で「ガソリン減税と、加えて、やっぱり『インフレ手当』。1人一律10万円のインフレ手当を、もう一回配るぐらいで、ちょうどいいと思っている。消費が縮まないようにするための、今こそ、そういった手当が必要だ」などと主張した。
「インフレ手当」とは驚かされるが、緊急事態でもないのに国民に一律で配るという発想は、もはやまともではない。国民民主党は予算案に賛成するなど現実的な政党に脱皮したかと思ったら、やはり選挙が間近になると、票欲しさに突飛なことをいうのだろう。
国民一律といえば消費税減税もそうだ。立憲民主党や日本共産党、日本維新の会、れいわ新選組などから聞こえてくるのは「消費税減税」のオンパレードだ。
消費税10%のうち6.28%が国の分で、地方交付税を含めて3.72%が地方分とされている。2022年度予算では計45.3兆円が社会保障関係経費だが、このうち国分の32.2兆円は年金、医療、介護、子ども・子育て支援に使われている。
地方でも同様で消費税率1%分の地方消費税収を除くと全てが社会保障財源となっているのだ。
野党が主張する消費税減税は、この社会保障財源を削れと言っているのと同義だ。そして、その社会保障財源を削減する合理性については一切説明していない。消費税減税を訴えれば、有権者から大喝采を受けると思っているのだろう。
岸田政権の看板政策は「成長と分配」であり、分配については低所得の子育て世帯への給付など生活困窮者対策を実施しているし、春闘の賃上げでも産業界に賃上げを要請するなど着実な成果を上げている。こうした取り組みこそが、人気取りではなく、国民の生活を守る政治だ。
(terracePRESS編集部)